第73章 you have…
初めて俺が抱かれた場所…
あのマンションに連れてこられた。
やっぱり…一緒に暮らしてたんだよね
傍から見たら、俺が智を盗ったって…
そう思われたって仕方ないと思った。
「入って」
ニノは振り返りもしないで玄関を開けて入っていった。
後に続いて入っていくと、あの日と同じ…
リビングに明かりが灯るのが見えたから、そこまでなんとか歩いた。
こんな修羅場、初めてだったから足が震えてる。
でも…ちゃんとニノと話をして誤解を解かないと…
じゃないと智がここに戻ってこられなくなる。
ぐっと拳を握りしめてリビングの扉を開けた。
ニノは窓辺に佇んで、冷たい目で俺を見ていた。
「座ったら?」
顎でソファを指すと、窓に向き直った。
なんとかソファに座ると、勝手に手まで震えてきた。
「で?どう言い訳するの?」
「だから…智は俺に惚れてなんかないって…」
「はあ?じゃあなんで智はここに帰ってこないのよ!?」
ニノが振り返ると、その顔には涙が流れていた。
「なんで智は、あんたんところ行ったっきり帰ってこないのよ!?」
「それは…」
多分、俺が珍しかったからで…
俺みたいなやつ、きっと智の周りに今までいなかったんだろう。
だから…