第73章 you have…
なにかが俺の肌に触れてる。
冷たくて気持ちいい…
「翔…?」
智の声が聞こえた。
「さと…」
声が掠れててうまく出なかった。
「気がついた…?」
さらりと前髪を撫でられた。
「ん…」
目を開けると、濡れタオルを持った智が微笑んで俺を見下ろしてた。
「あれ…?どうしたの、俺…」
「気を失ったんだよ…覚えてない…?」
「えっ…」
かあっと顔が熱くなった。
嘘でしょ…
俺、初めてなのに…
「ご、ごめん…」
「何、謝ってんだよ…」
ちゅっと額にキスしてくれた。
くすくす笑いながらそのキスは唇に降りてきた。
柔らかく重なると、じんわりと熱が伝わってくる。
気持ち、いい…
「凄かったよ…翔。すんげー気持ちよかった…」
「ほんと…?」
「ホントに初めてだったの…?」
「うん…初めて…」
「ふ…嬉しい…」
ぎゅっと抱きしめてくれた。
「こんな凄いバージン貰ったの、初めてだ」
「ば、バージンって…」
顔から火が出るほど恥ずかしかった。
「また…会ってくれる…?」
「え…?」
「また俺と…寝てくれる?翔…」
嬉しかった。
凄く嬉しかった。
「うん…俺も、また会いたい…」