第73章 you have…
身体の火照りが、ビールの冷たさで冷めていく。
なのに、心臓はバクバクしててどうにも静まらない。
それにさっき触られたお尻が、なんだかムズムズして…
もぞもぞしてたら、智が笑いだした。
「どうしたの?落ち着かないの?」
「えっ…うん…」
「…こういうの、初めてなんだ?」
「え…」
「会ってすぐ、とかさ…」
「うん…」
「真面目なんだ?翔」
「え…そ、んなわけじゃないけど…」
とっつきにくいとか、硬いとか…
よく言われて。
今まで会ってすぐに女を誘うこともなかったし、誘われたこともなかった。
そりゃ、人並みに性欲はある。
あるけど…そのためだけに、誰かを誘うなんてこと、俺にはできなかった。
大体…日常の人付き合いは苦手で…
親しい友人だって、数えるほどしか居ない。
だから、あのクラブに逃げてたんだ。
あの…俺から見れば、異世界に…
深く関わらなくてもいい。
だけど、皆知ってる。
皆、俺を受け入れてくれる…
なにも聞かないで…
「…なんで俺についてきてくれたの?」
「え…?」
それが、一番わからない。
会っていきなり、セックスの誘いをしてくるような…
しかも男だし…
なのに俺は…なんで…