第73章 you have…
「それと…セックス…」
「え…?」
智の笑った顔が近づいてきた。
軽くキスをすると、お湯で身体を洗い流した。
「さ、出ようよ。翔」
二人で浴室を出ると、出してあったバスタオルで体を拭いた。
そのままキッチンに行くと、またビールの缶を二つ取り出して智は笑った。
「ベッドで飲もうよ」
寝室に連れて行かれて、ベッドに座らされた。
腰に巻いたままのバスタオルは湿っていたけど、智は気にすること無くそのままベッドに身を投げ出した。
「はあ…気持ちいい…」
そのまま手に持っていた缶を一つ俺に投げた。
プルタブを引くと、俺に向かって缶を掲げた。
俺も慌ててプルタブを引いて缶を開けた。
ブシュッと音がして、アルコールの匂いが漂った。
「カンパイ。翔」
「…乾杯…智…」
夢、みたいだった。
こんな一回喋っただけの人の家で…
でもこうやってベッドの上で一緒に酒を飲んでる。
って、ここすんごいマンションだけど…
もしかして、ニノの家?
何もかも現実とは思えなくて…
そして、目の前にいるこの妖艶な男…
どうして…俺はついてきてしまったんだろ。
こうなるのはわかってたはずなんだけど…
なんでか、理由がわからなかった。
ただ、魅入られたように…
ついてきてしまった。