第72章 今日の猫来井さん
そんなこんなを4人で話していると、勝手口から声がします。
「こんちゃー!三河屋ですー!」
「あらあら。三河屋の猫葉さんが来たわ…」
今日は電話で頼んでおいた、ビール1ケースとお醤油とお味噌が届くのだったわ。
猫野さんから預かっている食費の財布を持って、お勝手口に向かった。
「あらあら。ご苦労さまです。猫葉さん」
「こんちゃ!いつも綺麗ですね!猫来井さん!」
「まあ…そんな事言っても、なんにも出ませんよ?」
アメショーの猫葉さんはいつもこういうおじょうずを仰るんだから…
「いいんですよ!俺は、猫来井さんのスコの綺麗な毛並みを見られるだけでも、発情しそうなんですから…」
「は、はあっ!?」
どうやらこの方は、メスとオスの区別も付いていないようです。
しょうがないから、指先をくっと伸ばして猫葉さんの鼻先にくっつけます。
「猫葉さん…私、オスですよ?」
クンクンと私の指先の匂いをかぐと、猫葉さんはくにゃりと私の足元に崩れ落ちました。
「そんなの知ってますよぉ~…いい匂い…」
ずりずりと私の膝に額を擦り付けると、ゴロゴロいい出しました。
「ちょ、何してんですか…」
「だってぇ~猫来井さん、凄くいい匂いがする~」