第72章 今日の猫来井さん
「どなたさまですか~?」
玄関の引き戸をガラガラと開けると、そこにはくっきりとしたお顔のロシアンブルー。
「あ…あれ?猫野さんは…?」
「ああ。今、ご来客で。どちらさまですか?」
「あ、僕…猫本っていいます。猫野さんと今日遊ぶ約束してたんですが…」
「あらあら。今日は千客万来ですわね。どうぞどうぞ」
猫本さんをリビングまでお連れすると、猫野さんは飛び上がった。
「あっ!猫潤!忘れてた!」
「ひっどー!なんだよおお!」
「猫潤、久しぶり~」
「久しぶり~って、猫宮も今日約束してたの?」
「ううん。猫野さんの顔見に来ただけ。でも今日晩飯食ってく」
「え?え?なんで?」
「家政婦の猫来井さんのご飯、めっちゃ旨いんだぜ?」
「え?この人家政婦なの?」
猫本さんはびっくりして、私の顔を見ました。
「お初にお目にかかります。派遣家政婦の猫来井翔と申します」
ぺこりと頭を下げると、猫本さんもぺこぺこと頭を下げた。
「こりゃどうも…オスの家政婦さんかあ」
「ふふ…珍しくないんですよ?」
「へえ。え?でもなんで猫宮まで?」
「猫宮さんのお宅にも週1でお伺いしているんです」
「ああ…週1かあ…俺も頼もうかな?」