第71章 ARA通し(?)
やっと…顔、見えた…
震える手で智さんの頬を包んだ。
あったかい…
智さん、ここにいる…
嬉しくて、ぽろりと涙が零れ落ちた。
「…ごめん…そんなに嫌だった…?後ろから…」
「ううん…嫌じゃないんだけど…」
ぎゅっと智さんに抱きついた。
「やっぱり、顔…見たい…」
「翔…」
俺の手を握ると、そっと抱き寄せてくれた。
「ごめん…後ろからのほうが、翔くんに負担にならないと思ったんだけど…」
「ううん…気持ち、良かったよ…」
でもやっぱり、向い合せのほうがいい。
「だって…前に病院の外で、翔くんが求めてくれた時…」
「ぶっ…も、求めるって…」
あれは…智さんが他の病院へ行っちゃうかもしれないって…焦ってしたことで…
「あの時の感じ方…凄かったからさ…後ろのほうがいいのかなって…」
「あ、あの時は、あのときで…」
もうっ…なんでそんなことばっかり覚えてるんだよっ…
「あ、そっか…外だから、興奮したんだ?」
「ちょっ…」
「インモラルなの…好きなんだね…覚えとく」
「ちっ…違うからっ…そんなの覚えて無くていいっ…」
にやりと不敵に笑った。
「ち…ちがーうっ…」