第8章 ヴィンテージ・ワインscene1.5
とっさにベッドから飛び降りた。
「どこいくの?和也」
潤の強い目が俺を捉えて離さない。
思わず目を逸らしてしまう。
「疚しくないなら…俺の目、見ろよ…」
恐る恐る潤の顔を見る。
でもすぐに恥ずかしくなって俯いてしまう。
潤はベッドから立ち上がると、棚からなにか取り出した。
消毒ジェルと手袋…
「隠しきれてないけど…?なにこれ…」
「あ…」
かあっと身体が熱くなった。
自分がはしたないことしてたって、潤にバレたことが恥ずかしくて仕方なかった。
「ご…めなさい…許して…」
「え?何?聞こえないんだけど」
もじもじとシャツの裾をぎゅっと握った。
「ごめんなさいっ…一人でやってたっ…」
「へえ…?あんなに嫌がってたのに?忘れられなかったんだ?そんなに気持ちよかったの?」
「う…そうじゃ…なくて…」
「じゃなくて?」
潤がそっと近づいてくる。
そっと俺の肩を持って、壁に押し付けた。
いよいよ、どこにも逃げられない。
真っ赤になってる俺の顔を、潤は遠慮無く舐めるように見ている。
「あの時のことが…忘れられないだけ…」
そう呟くと潤の手の力が緩んだ。
「潤が…俺の代わりに泣いてくれた日だから…」