第8章 ヴィンテージ・ワインscene1.5
ベッドによじ登って潤を待つ。
後ろから歩いてきた潤は、何かを手に持っていた。
顔のすぐ横を通って、それはぽすんとマットレスに落ちた。
「あっ…」
潤がにやにやしてベッドに乗ってきた。
マットレスがギシッと揺れた。
「これさあ…しまいこんでたはずなのに、なんで洗面台の下にあんの?」
「え…そ、れは…」
その黒いケースを見たまま、俺は潤の顔が見られなかった。
そう…俺が最近ハマっていたこと…
尿道おなにー…
へっ…変態だよね?
だけどさ、潤に会えない日とかどうしても身体を持て余してしまって…
仲直りしたあの日のこと思い出して…その…自分で…
あの時の事を思い出すと、今だに身体が熱くなる。
俺の涙を潤が代わりに流してくれた日…
素直に俺の気持ちを伝えられた日…
それを思い出して、潤が家に居ても、お風呂で一人で…その…
「さあ、答えてよ」
潤の目がキラリと光る。
「わ、わっかんない…」
「ほう…」
潤はつぶやくと、その黒いケースを手にとって開けた。
「おかしいなあ…一年使ってないはずなのに、このステンレスの棒、ぴっかぴかだなあ…」
にやにや笑いながら、一番細い棒を手にとった。