第69章 海鳴り~父、あけぼの荘に帰還す。
「それじゃ、行ってくる」
玄関前では皆が勢揃いで俺を見送ってくれた。
最寄りの駅まで雅紀に送ってもらうので、ここでお別れだ。
「ちゃんと連絡ちょうだいね?」
さっき、翔にゴリ押しされて…
これからは一週間に一度は、俺から連絡を入れるという約束になった。
まだ終わっていない手続きなんかもあるから、しょうのないことだが…正直めんどくさくはある。
だがそんなことを言うと、萌香そっくりな顔で鬼のように怒られるから言えない。
「ああ…わかった」
ちょっとしょんぼりしながら返事をすると、それがおもしろかったのかちびたちがはしゃぎだした。
「父ちゃん!俺にも電話!」
「とうちゃん!俺も!俺も!」
「ああ…わかったわかった。電話してやる」
ついでに俺によじ登ってきたもんだから、ぎゅうっと抱きしめておいた。
「父ちゃんが帰ってくるまで、いい子にしてるんだぞ?」
「うんっ!わかった!」
「いい子にしてる!」
「よーし!」
とても大人しくいい子にしているとは思えないんだが。
そんなことを思っていたら、和がぐずぐずし始めた。
「早く…帰ってきてね?」
それを見た潤までぐずぐずし始めた。