第69章 海鳴り~父、あけぼの荘に帰還す。
それから一週間。
いよいよ俺が船に戻る日が来た。
この日までに、あけぼの荘の名義の変更やら銀行口座の変更やら…やることがしこたまあって、休む暇もなかった。
手続きも途中の物もあったが、後のことは翔や雅紀や大野が上手いことやるだろう。
「じゃあ、何かあったら連絡しなさい」
「するけど…お父さん、手紙を受け取ったら電話してね?」
「む…」
「面倒くさいんだろうけど、こっちは生きてるのか死んでるのかすらわかんないんだからさあ…」
「わかった…」
大野と雅紀は説教されてる俺を見て、くすくす笑ってやがる。
ちびどもまで…くそう。
「あ。翔」
「うん?」
ちょいちょいと翔を呼んだ。
「なに?」
「あのな…」
ぐいと肩を掴んで、耳元にこしょこしょと話した。
「大野と籍入れるなら、俺の養子にしとくから…そうなったら手続きや向こうのご両親に挨拶いくのに帰国するから言いなさい」
「ぶふぉっ…」
真っ赤になって翔はひっくり返った。
「わあ!翔あんちゃん大丈夫!?」
「お顔、真っ赤だよ!お熱?お熱?」
「ち、違っ…おと、おと、お父さんっ!」
狼狽える翔というのも、珍しくて面白い。
「むふ…」
説教の仕返しは三倍返しだ!(古い?)