第69章 海鳴り~父、あけぼの荘に帰還す。
「そっか…」
「お父さんとお母さん…本当に仲が良くってさ…」
「うん」
「見てるこっちが照れるくらいだったよ」
「ふふ…お義父さんがデレってしてたの、見てみたかった」
「デレって…ふふ…」
大野、明日の朝ぶっ殺す。
「俺も…あんな夫婦になりたい…」
「翔くん…」
「本当に…理想の夫婦だったんだよ」
「うん…じゃあ、なろう。俺と翔くんで」
「え?」
「俺じゃだめかな…」
「智くん…そんなことないよ!」
「お義父さんほど、頼りにはならないかもしれないけど…」
「何言ってんだよ…十分だよ」
「…しあわせに、する」
「ありがとう…智くん…」
暫く部屋が静かになった。
「…行こっか」
「うん」
二人はそのまま部屋を出ていった。
「むう…」
ぶっ殺すのはやめておいてやる。
だが、もし俺の前でイチャイチャしたら…
多分殺す。
「はああ…」
寝たふりとは案外疲れるものだ。
ばふっと布団抱きしめて、ベッドの上でゴロゴロしてみた。
翔は…一生を大野と過ごすことになるって言ってたな…
大野もちゃんとその覚悟があるってことか…
デキ婚した俺たちとは違って、随分先のことまで見通してる。