第8章 ヴィンテージ・ワインscene1.5
潤は俺の顔を見てくすっと笑う。
「な、なんだよ」
「なんでもね」
そう言うと立ちあがって、俺の方に歩いてきた。
ビールの缶を取り上げると、そっとキスをした。
「和也…」
「ん…?」
「欲しい」
「えっ…」
言い終わらないうちに俺は押し倒されていた。
白いラグの上に、俺は貼り付けられた。
「じゅ、潤っ…」
潤は俺の上にのしかかって俺を見下ろした。
「ダメな理由ある?」
「…ない…」
最近は、潤のドラマ撮影や俺の映画関連の打ち合わせが重なって、全然シてなかった。
お互い、家に帰ってきたらクタクタで…
抱き合って寝るだけで充分になってた。
時には潤が撮影で帰ってこない時もあって…
そういう時に俺は一人で性欲処理してたんだ。
だって潤に負担を掛けたくなかったから。
連ドラは今期ナンバーワンだったし。
潤自身も乗りに乗ってた。
だから、疲れさせるようなことはしたくなかったんだ。
って、よくある理由だけどさ。
正直それは言い訳で…
実はちょっとハマってることがあって、それに夢中になってたって事もある。
だから潤から誘われても、やんわりとかわし続けてきたんだよね…
俺を見下ろす潤が、にやりと笑った。