第69章 海鳴り~父、あけぼの荘に帰還す。
風呂から上がって、ちびどもに雅紀の作ったプリンを食べさせた。
それから客室に3人で布団を敷いて、川の字になって寝た。
昼間寝たからか、なかなか寝ないで苦労した。
それでもなんとかちびどもが寝てから、客室を抜け出して居間に行くと雅紀が一人でテレビを見ながら舟を漕いでる。
漁師にはもう深夜とも言える時間だ。
眠くてしょうがないんだろう。
「あれ?翔は?」
「んん…ああ…今、大野さんと一緒に風呂入ってる…」
ふゃぁっとあくびをした。
「なっ…何だとお!?」
「ああもう…邪魔しちゃだめだよ?せっかくやっとふたりきりになったんだから…」
ぼりぼりと頭を掻くと、またうつらうつらする。
「ちょっ…雅紀、コラ!」
寝転がる雅紀を叩き起こして胸倉を掴んだ。
「ああん!?あんだよ!?」
「邪魔するなとは何事だ!?」
「だから、言ったとおりだよっ!見ててわかるだろ!?あの二人は付き合ってんの!」
「なっ…何だと!?」
「お互い、いい大人なんだから邪魔すんなよな!」
そう言って、ブランケットを被って眠ってしまった。
「オイ…待て…」
ちょっと待て…
「翔は男だぞ!?」
「だー!うっせえなあ!」
「そ、それともなにか!?大野が女なのか!?」
「んなわけねえだろ!」
ど、どういうことなんだっ!?