第69章 海鳴り~父、あけぼの荘に帰還す。
ちびどもは泣き疲れて眠ってしまった。
「あーあ…これ、夜寝ないな…責任取ってよ?お父さん…」
「わかった…すまなかったな」
今日は客室にでも布団を敷いて3人で寝るか…
食堂に敷いた子供用の布団を囲んで、大人たちは脱力した。
「ああ~…せっかく今日のおやつ、プリン用意したのに…」
雅紀がぐしゃぐしゃと頭を掻いた。
「すまない…それもちゃんと後で食わせるから…」
「え?父ちゃんが食べさすの?」
「…あのなあ…おまえらに離乳食食わせたのは俺だぞ?」
「ほええ…そんな記憶ねえよ?」
「俺は覚えてるよ」
翔が和と潤の顔を見ながらくすくす笑っている。
「雅紀がすっごいがっついて咽るから、お父さん焦って大変だったんだよね」
「ほえ?!俺が!?」
「そうだよお…それに、お母さんも苦労してたな…」
「え?どんな?」
「お父さんが漁に行ってる間さ、写真とかビデオ見せて、”これがお父ちゃんよー!”って英才教育してるのにさ…雅紀ったら実際にお父さんの顔見たら漏らしちゃってね…」
「ぶっ…ちょっ…何時の話ししてんだよ!?」
雅紀が焦って顔を真赤にしてるのを見て、全員で爆笑した。
「もっ…もおっ…やーめーてー!」