第69章 海鳴り~父、あけぼの荘に帰還す。
「あっ…父ちゃん!」
「わあ!とうちゃんが来た!」
和も潤も予想に反して、興味津々で俺のことを見ている。
翔と大野が二人を着替えさせているんだが、裸のままこちらに来ようとするから、抑えるので必死だ。
「くおら!てめえら!そんな変態みたいな格好で走るな!」
「もお…風邪引くでしょお…?」
夫婦みたいにちびどもの服を着せている。
なんだかそれがしっくりきてて…
思わず見惚れてしまった。
「父ちゃん…?」
あれだけ暴れていたのに、和はなんだか俺の前まで来てもじもじしている。
潤もやっとズボンを履かせてもらって、和に追いついたけど一緒にもじもじしている。
「えへへ…とうちゃん…」
いっちょまえに照れているのか。
「来い。高い高いしてやる」
二人を抱え上げていっぺんに高い高いしてやった。
「あっ…お父さん!天井っ…」
翔が叫んだが遅かった。
ごちんと音がしたかと思ったら、ちびどもは天井に頭を強かに打ち付けていた。
「うぎゃあああああああああああああ!」
「いだああああああああああああぁい!」
ギャン泣きするちびどもにひたすら謝るしかなかった。
「すまなかった…」