第67章 プロローグ(仮:めりくり)
「…それでは面白くないなあ…」
御前は紅茶のカップとソーサーを傍らのテーブルに置いた。
「私は欲しいものは独自のルートで手に入れることができる。他になにかできることはないのか?」
「は…はあ…」
どうしよう。
代替案を考えていなかった。
大体、貴族を楽しませるという漠然としたものにどうやって案を出せというのだ…
「…わかった。それではこうしよう。先に願いを聞こうか」
「えっ…あっ、はい!私の願いは、京明館高校に融資をしていただきたく…」
「学校経営に資金を出せということか」
「はいっ…現在、京明館高校では…」
「いい。わかった」
手で制された。
「他の者は?」
「はい。私も、自分の店を再建したく、融資を頂きたい」
「今は店を持っていないのか」
「はい。現在は…」
「わかった。次」
御前が言うと、葉山さんが前に進み出た。
「僕は、妻の療養先を探しています」
「妻…ほう、それはなんで?」
「…少し、妻の病気が特殊で…受け入れ先がないんです」
「わかった。では、最後は…」
ちらりと忍者を見た。
「おいら、墓を建て直したい!」
「墓?」
「俺の妻の墓だ。京都にあるんだけど、ちょと事情があって、こっちに建て直したいんだ」