第7章 オレンジscene1.5
「…お前のほうが綺麗だよ…」
「誰が綺麗だって?」
目を開けると、ニノが俺の顔を覗き込んでた。
「うわあっ…」
慌てて飛び起きると、俺のマンションだった。
クタクタに疲れて帰って、ソファでそのまま眠っていたようだ。
背もたれの向こうから、ニノが俺の顔をじとっと見ていた。
「お前って誰よ…?」
「ええ…お前ってお前だよ…」
ニノがわけがわからないって顔で俺を見ている。
「また夢みてたの?」
「うん…」
あの例の長い音楽特番に向けて、俺のスケジュールはぎっちりで。
そんな中、沖縄に取材に行ったりしてるからニノとはゆっくり会う時間も取れなくて…
「ニノ不足すぎたのかも…」
ぐいっと背もたれの向こうの腰を引き寄せた。
「あっ…あぶないっ…」
背もたれを乗り越えてニノが俺の腕に倒れこんできた。
ふんわり、ニノの匂いが漂ってくる。
「ああ~…これだよ…この匂い嗅がないと生きていけない…」
「なっ…なにバカなこと言ってんのよ!」
ぎゅうううっとニノを抱きしめると、ぐえっと声が聞こえた。
「なあ…ニノ…」
「く、くるしい…」
「一緒に住もうか…」
「ふえっ?」