第67章 プロローグ(仮:めりくり)
「鳴海様」
いの一番に俺が呼ばれてびっくりした。
しかしここで怯んではいけない。
咳払いをするとすぐに俺は立ち上がった。
「お初にお目に掛かります。私、京明館高校学校長の鳴海涼介と申します」
頭を下げると、御前は鷹揚に頷いた。
「葉山様」
執事が俺の隣りに座る男を呼んだ。
「はい。初めまして。僕は…高校教師をやっておりました…葉山貴司といいます」
「現在は?」
御前は鋭く声を発した。
「…現在は職を辞め、病気の妻の看護をしております…」
御前は頷くと執事を見た。
「佐々木様」
向かいのソファに座っていた小柄な男が立ち上がった。
「佐々木充と申します。料理人をやっております」
「ほう…専門は?」
「なんでも。お好みのものをお作りいたします」
「ふむ…」
御前は頷いた。
「それでは…あれ?」
執事が周りを見渡す。
「なんだ。どうした」
「申し訳ございません御前。お一人、まだのようでございます」
「なんだと?」
その瞬間、天蓋が揺れた。
「遅くなった」
なんと天蓋の内側に男が立っていた。
「忍者…」
「無門っていうんだ。よろしくな」
オッス、おら悟空みたいなノリで言うと、無門という忍者の格好をした男はこちらに歩いてきた。