第66章 Thousand of…LOVE
仕事で知り合っただけの俺に、在宅で仕事ができるよう取り計らってくれて。
シングルファザーの先輩だからって、公的制度のことや支援制度のことを俺に教えてくれて。
なんでここまで良くしてくれるんだろうって、その当時はとにかく必死だったから考えることもできなかった。
それに翔ちゃんは全然恩着せがましくなくて、本当に心から俺の助けになりたいって思ってくれてるのがわかって…
だから俺も凄く頼りにしてた。
いつの間にか、週末は俺の家で潤も含めて家族一緒に過ごすまでになっていた。
ある日、翔ちゃんの妹さんである舞ちゃんが子どもたちを預かってくれることになって、休日に二人で出かけることになった。
息抜きしておいでよって、快く送り出してくれた。
久しぶりに友達と呼べる人と過ごす、純粋な休日だった。
ドライブ中、翔ちゃんは自分の話をしてくれた。
離婚した時の話、そして…
いつの間にか俺のこと好きになってたこと。
俺もその頃には翔ちゃんが、俺の人生に無くてはならないひとなんじゃないかって思うようになってた。
不思議なんだけど…俺たちはお互いに惹かれ合ってたんだ。
何か特別な出来事があったわけじゃない。
そこには、理由なんてなかったんだ。
俺たち、そんな趣味もないし至って今まで普通に過ごしていた。
翔ちゃん以外の男は、別になんにも感じないから、これまた不思議なんだけど…
それから、同居するまで、そんなに時間はかからなかった。
幸い、翔ちゃんの実家の理解はすぐに得られた。
舞ちゃんには「そんなに愛し合ってるんだから、誰も文句言わないよ」って言われてしまった。
…本当に俺は…俺たちは、周囲に恵まれていたんだと思う。
3年後には、一緒に暮らす家も共同で買って…
あれから、8年―――