第66章 Thousand of…LOVE
「なんなら、帰ってこなくてもいいとかさ…言ってさ…」
「えっ…ええっ…それって…」
かああっと顔が赤くなる。
「俺もちょっとその気になって、実はホテル予約してたんだけど…」
「えっ…ええっ…!?」
そ、そんなっ…
「いや、もちろん宿泊するつもりはなくって…夜中にでも帰ろうとは思ってたよ?舞にも泊まってもらえるようお願いしてたし…」
翔ちゃんは立ち上がってボトルを持ってきた。
自分のグラスにワインを注いだ。
「……その、久しぶりにデートでもって思って…」
ああ…だから雅紀はあんなに謝ってたんだ
翔ちゃんが計画してたこと知ってたから…
「最近忙しくて、二人で出かけてなかったろ?だから、雅紀が気を利かせてくれたんだよ…」
「…そっかぁ…」
なんだか、照れくさい。
それとともに、雅紀の成長が眩しいほど感じられて…
なんとも言えないで居ると、翔ちゃんが俺のグラスにまた、グラスを合わせてきた。
「俺たちの息子は…みんないい子に育ってるね…。智くんのお陰だよ。いつも…ありがとう」
とってもとっても、優しい瞳で俺のこと見つめて。
突然胸がきゅうっとした。
久しぶりに翔ちゃんの笑顔にドキドキした。
ゆっくりと近づいてきた唇。
赤ワインの味がした。