第66章 Thousand of…LOVE
洗面所で髪を乾かしてからリビングに戻ると、翔ちゃんがワインを用意しててくれた。
「あれ…?なんかあったの?」
ワインなんて特別なことがないと開けないのに。
「ん…まあね。一緒にどう?」
テーブルにはもうワイングラスが二個用意されてた。
「ありがとう…貰うよ」
ソファに座ってたら、赤ワインを注いだグラスを持ってきてくれた。
翔ちゃんも俺の隣りに座ると、グラスを掲げた。
俺も同じ高さにグラスを掲げた。
「智くん」
「ん?」
「…誕生日、おめでとう」
「えっ…!?」
時計を見上げた。
リビングの時計には、デジタル表示で日付が出る。
時計は0時を過ぎていて、そして日付は…
「11月26日って…あっ…俺、誕生日だった!」
マヌケなことに、俺はすっかりと自分の誕生日を忘れていたのだ。
「ぶぶっ…乾杯」
「か、乾杯…」
カーンといい音がして、翔ちゃんはグラスのワインを一気に飲み干した。
俺もなんか恥ずかしくなって、ぐいっと煽った。
「あ。だから外食行こうとか言ってたのか…」
「うん。ホントは、明日でも良かったんだけど…実はさ…」
雅紀が、その後どっか二人でデート行ってこいって言ったんだって。