第66章 Thousand of…LOVE
「後で…風邪が治ったら、ちゃんと和也と二人で潤のことフォローするからさ…」
「ばか…いいんだよ?雅紀はそんなことまで考えなくて。そのためにとうちゃんが居るんだからさ」
ちょっとだけ汗ばんでる額に掛かってる髪をどけながら頭を撫でた。
「かあちゃんが生きてたら…そうしなさいって言ったと思う」
「雅紀…」
「だってさ…俺たちはかあちゃん死んじゃったから諦めもつくけど…潤はさ、お母さんが生きてるから諦めらんないんじゃないかな…」
「ん…まあね…」
「とうちゃんだって仕事してるんだし、潤とは俺と和也のほうがずっと一緒にいるんだからさ。だから…」
「ふ…あんまり喋ると、疲れちゃうよ…?雅紀…」
布団を顎まで上げてやった。
「ありがとね…でも雅紀は受験生なんだからさ。そこんとこは俺がなんとかするから…」
「大丈夫。だって俺たち、家族じゃん?」
「雅紀…」
「俺、あいつらの兄ちゃんだし…」
なんて…優しい子に育ってくれたんだろう…
雅紀はお兄ちゃんだから、たくさん我慢させることもあったのに…こんなに思いやりのある子に育ってくれて…
「ありがとうね…雅紀。でも、今はちゃんと風邪治さなきゃ。ね?」
「うん…わかってる…」