第66章 Thousand of…LOVE
「俺はなんのためにいるのさ?なんのために一緒に暮らしてるのさ?」
「それは…でも、やれることは分担しないと…」
「それにさ、翔ちゃんが出世したおかげで、俺の仕事、前よりも安定したし収入が増えたんだよ?優先的に仕事回してもらえて、凄い感謝してる。それにこの家のローンだって、前倒しで返済できてるし」
緩んだ腕から抜け出して、翔ちゃんに正面から向き合った。
「奥さんやお母さんにはなれないけど…俺がその役割をする。だから、任せてくれないかな」
「智くん…」
「俺から潤の親であるってこと、取り上げないで?俺から仕事取り上げないで?翔ちゃんにはあの子らの父親の役割がある…だから、俺にも役割ちゃんと分担してよ?」
「取り上げる気なんてないよ…」
「一人でなにもかも背負うことなんてできない。…だから一緒に暮らしてるんじゃないの…?」
愛してるからとかそれだけじゃ、一緒には暮らしていけない。
もしも俺と翔ちゃんが独り身だったら、それだけでもいいかもしれない。
でも俺たちには子どもたちがいる。家庭があるんだ。
愛だけじゃ…それだけじゃ育てることも生活することもできないんだ。
「…翔ちゃんが仕事キツイんだったら、部署変わってもいい。翔ちゃんが一番大事だからね。でも、そしたら俺、会社勤め始めるよ」