第66章 Thousand of…LOVE
子供部屋の潤のベッドに寝かせると、そっと俺たちは部屋を出た。
「あ…夕飯、ごめんね…」
「ううん…雅紀は食べてお薬も飲んだから。後はあの二人が起きてきたら、お夜食作ってあげようか」
「うん…」
二人でダイニングテーブルについて、冷めきった料理を食べる。
翔ちゃんはもう明らかに項垂れてて…
ご飯も進んでいない。
「ほんと…俺、だめだなあ…」
なんとか食べ終わると、そんなことを呟く。
「何いってんの…」
食器を片付けてると、突然後ろから抱きしめられた。
「情けない父親でごめん…」
「しょうがないよ…翔ちゃんより俺のほうが潤に接してる時間が長いんだから…」
だから潤の欲しい言葉がわかって当然だと思うんだよね…
「俺…部署移動して貰おうかな…」
「…何言ってんだよ…」
翔ちゃんは、今、課長というポストに居る。
それまでの主任や係長とは違って、翔ちゃんの会社では監督的地位になった。
労組に守られていた労働者側とは、ちょっと立場が変わったんだ。
だから劇的に責任の重さが違う仕事が増えた。
土曜も休めない時がある理由はここにある。
「いや…俺んとこは父子家庭登録してるから…問題はないと思うんだ…もっと潤と接する時間作らなきゃ…」
「あっそ。じゃあ俺、いらないんだ?」
「えっ…!?」