第66章 Thousand of…LOVE
「なんで…?なんで潤くんのお母さんは生きてるのに…」
「うん…」
「なんで潤くんに会いに来てくれないの…?」
堰を切ったように和也も泣き出した。
まだこの子たちには、翔ちゃんの離婚理由は説明していない。
どう言えばいいのか、正直言って俺も翔ちゃんもわからなかった。
潤の母親は親権を希望しなかった。
養育費は翔ちゃんが拒否したが、毎月振り込まれているそうだ。
それに月一回の面会も欠かしていないし、電話もしてる。
表面的にはいい母親をしているんだろうと思う。
でも…どう言葉を重ねようと、表面を取り繕おうと……結果的に潤は捨てられたようなものだ。
潤よりも、自分の人生を選んだんだ。
それは決して、悪いことじゃない。
一度しかない人生を、悔いのないように生きたいという気持ちはわかる。
じゃあなぜ潤を産んだんだ。なぜ親になったんだ。
それが翔ちゃんの言う”ステイタス”ってやつだからか。
一度も会ったことはないけど、俺は潤の母親が大嫌いだった。
そんなこと、まだ幼い子どもたちに言えるわけなかった。
「どうして…?生きてるのに…どうして?」
「そうだね…どうしてなんだろうね…」