第66章 Thousand of…LOVE
ちょっとふらっとしてたから支えながら車に乗って、すぐに休日診療をやってる内科まで走った。
「雅紀?寒かったらブランケット掛けてろよ?」
ぐったりとシートに凭れる雅紀に声を掛けながら、翔ちゃんはバックミラーを見てる。
「うん…ごめんね。とうさん…せっかくの休みなのに…」
翔ちゃんは久しぶりの土曜休みで。
係長から課長に昇進してからというもの、土曜もなんだかんだと出勤することが多くて…
「何言ってんだ。長男が病気なのに」
正確に言えば、翔ちゃんの長男は潤なんだけど…
一緒に暮らすようになってからは、雅紀が長男で、和也が次男、潤が三男って呼んでる。
「雅紀。なんで具合悪いの黙ってたの?」
後ろを振り返ってみたら、目を閉じてて。
こいつ…ごまかすつもりだな?
「あのねえ…雅紀…」
「まあまあ…今はだるいんだから、お説教は治ってからにしてやってよ?智くん」
「でも…」
「さ。着くよ」
もう内科の前に着いてた。
「雅紀、降りて。行くよ」
声を掛けて助手席を降りた。
「俺、潤か和也を連れて雅紀の自転車回収するよ」
翔ちゃんは運転席の窓から手を出した。
「雅紀、自転車の鍵よこしな」
「うん…」