第66章 Thousand of…LOVE
「わかったよ。気をつけてね」
6年生とはいえ小学生のくせに…しっかりしてんだよな…コイツ。
苦労、掛けたもんな…
嫁が亡くなった時、まだ3つだったもんなぁ…
そりゃしっかりするよね…とうちゃんこんなだし…
兄ちゃんも天然だし…(←ジブタナという)
「じゃあ、カズ頼んだぞ。あれ?潤は?」
翔ちゃんが着替えて寝室から出てきた。
「あ…まだ電話してる…」
「電話?」
翔ちゃんはちらりと子供部屋の方を見た。
「そっか…」
ちょっとだけ寂しそうで…
思わず和也と目を合わせてしまった。
「さ、さあ!早く行ったげて!雅にい泣いてるかも!」
「ぶっ…そんなわけあるか…さ、行こうか。智くん」
「うん…」
車のキーを掴んで、翔ちゃんは玄関を出ていった。
「あ、保険証持った?」
「大丈夫。じゃ、行ってくるね」
くしゃっと随分成長した息子の頭を撫でて玄関を出た。
いい子に育ってくれたよ…
翔ちゃんはガレージの前で俺を待っててくれた。
「酷くなきゃいいけどね…」
「うん…でもあの子我慢強いから、迎えに来てっていうことは相当辛いんだと思う…」
「そっか…早く行ってやろう」
「うん…ありがとう。翔ちゃん…」