第66章 Thousand of…LOVE
なんとなく二人で翔ちゃんの寝顔を眺めた。
「とーちゃん」
リビングのドアが開いて、子機を持ったままの潤が入ってきた。
こっちもまだジャージ姿のままだった。
でも和也とは違って、すらっと背が伸びた。
和也のほうが誕生日は早いんだけど、今じゃ潤がお兄ちゃんに間違えられることも増えた。
「キャッチ入って電話でたら、雅くんだった」
「え?なんだって?」
「なんか熱出たから迎えに来て欲しいって」
「ええっ!うん…わかった」
「伝えたからね。あ、ごめん…」
また電話しながら潤は子供部屋に戻っていった。
「雅にい、今朝具合悪そうだったもんな…」
「えっ?嘘」
「あ、でもとうちゃんに心配掛けたくないから、多分平気な振りしてたんだと思う…」
雅紀には中学に入ってから携帯を持たせてある。
ガラケーだけどね。
部活で遠征にいくこともあったから、思い切って持たせておいてよかった。
慌てて翔ちゃんを叩き起こして、運転してもらうことにした。
車は翔ちゃんのしかなくて、俺はペーパードライバーで運転なんか何年もしてなかったし。
和也には客間に布団を敷いて貰って、雅紀を隔離する準備をしておいてもらうことにした。
もしかしてインフルかもしれないからね…
「和也ごめん。リビングの洗濯物、片付けておいて?」
「うん、わかった」
「雅紀を病院に連れてから戻るから、ちょっと時間掛かるからね」