第65章 仄暗い奈落の底から -prequel-
「もう…見てらんないんだよ…翔ちゃん…」
相葉が俯きながら、言葉を発した。
「そんな翔ちゃんの姿見てるの辛いんだよ…俺たち…」
「な、何言ってんだよ…俺、別になにも…」
「じゃあなんでそんなに痩せたの…」
「…身体、鍛えてるから…」
「いつもいつも無理して笑って…」
相葉の目に薄っすらと涙が溜まる。
それを見て櫻井は目を逸した。
「それなのに、あの二人の話絶対しないよな?」
松本が畳み掛けるように櫻井を追い詰める。
「なあ…もう平気なんだろ?だったらあの二人に会ってやれよ」
「だって…別に用事ないし…」
「会いたいんだろ?智に…ニノに…」
「いいから…もう。帰ろう?」
「翔っ…」
鋭い目で松本が睨むと、櫻井は浮かしかけた腰を戻した。
「…おまえ、ビビってんだろ…」
「なにを…」
「男同士だからって…踏み出すことができないんだろ?」
「何言ってんだよ…おかしいだろ…」
「じゃあなんでそんな風になってんだよ…今も欲しいんだろ?手に入れたいんだろ?あの二人を…」
櫻井は俯いて答えようとしない。
「…もう俺たち見てられないんだ…翔…」
ぎゅっと握りしめた拳を松本はテーブルに載せた。
「だったら、俺達がなんとかしてやる」