第65章 仄暗い奈落の底から -prequel-
「そっか…あいつら会ってないんだ…」
小さな事務所に松本と二人で働いている相葉は、次の日松本に大野と二宮の様子を話した。
「…みたいだよ…びっくりするだろうね…」
「ああ…」
松本はデスクに足を載せながら、何事か考え事をしていた。
「おい、潤…そろそろ仕事始めるぞ」
「うん…」
足を下ろすと、松本は相葉の顔を見た。
「あのさ…雅紀」
「なんだよ」
昨日買ってきたゲームをカバンに入れながら、相葉はネクタイを締める。
「ニノと智は…翔のことどう思ってんだろうな…?」
「え…?」
「翔からあの話を聞かされてから、俺…気になってさ…」
「そ…そんなのわかんないよ…」
「俺には…ニノも智も、翔を求めてるように見える」
「何言ってんだよっ…おかしいだろっ!?」
松本の言葉に、思わず相葉は怒鳴っていた。
「ごめん…大きな声出して…」
「…いや…おかしいよな…わかってるんだ…でも…」
松本は口元を手で覆った。
「あんな翔…見てらんないよ…」
「よ。どうだ?社長さんたち」
櫻井の声は明るい。
「うん…まだまだ…な?潤」
「ああ…安定してないよ…」
松本と相葉の視線の先には、一年前とは比べ物にならないほどやせ細った櫻井が居た。