第62章 新・忍びのむに
「ならば、干し飯(ほしいい)でも煮て食べるか…」
潤之介は裸のまま無門を河原に連れていき、一緒に手ぬぐいで身体を拭くと、すぐに着物を着せて無門をお堂に寝かせた。
そのまま外で火を焚いて、小さな鍋に干し飯を入れて煮始めた。
その煮炊きの音を聞いていると、無門は安心した。
やはり熱があったせいだろうか。
少し気弱になっている。
布団で寝て待っていると、茶碗に飯を入れて持ってきた。
塩で少し味付けされたそれは、病み上がりの身体に染みた。
潤之介も同じものを食べると、もうあたりは真っ暗になっていた。
「今日はやめじゃ。寝よう」
携帯用の灯明の火を消してしまうと、潤之介はごろんと板敷きに寝転がった。
「…あんた、俺にあわせなくてもいいんだぞ…?」
なんだか申し訳なくなって、潤之介の着物の袖を引いた。
「ん?」
「先は長いんだ…ほら…そんなとこで寝てたらあんたが熱だすだろうが…」
そのまま自分の布団を少し持ち上げると、潤之介は微笑んで布団に入ってきた。
そのままふんわりと無門を抱きくるめた。
狭いのだからしょうがない。
そう思いながら、無門は潤之介にぎゅっと抱きついた。