第62章 新・忍びのむに
「ば…馬鹿にするなっ…」
「してないしてない…ふふ…」
とろとろと寝ぼけながら無門の頭を撫でていたが、ふっと力が抜けて、また潤之介は眠ってしまった。
「な…なんだよ…」
それでも、なんとなく裸体の潤之介から離れられなくて。
そのまま夕刻になるまで、二人は抱き合って眠っていた。
無門の熱は熱冷ましのお陰かすっかりと下がってしまったが、まだだるい。
それでも腹も減ってきたしと起き上がると、潤之介も起き出してきた。
「どうじゃ?無門殿…なにか食べるか?」
「ああ…すまなかったな…その…」
裸体の潤之介を真っ直ぐ見ることができなかった。
真っ白な胸や肌は女みたいなのに、自分よりも広くて。
一晩中、自分はこの胸に抱かれていたのだと思うと、なんだか恥ずかしくなってきた。
「気にするな」
ぽんぽんと、傷痕だらけの無門の背中を叩くと、潤之介は立ち上がった。
「ちょっと水でも浴びてから、町にでてくる」
途端に、寂しくなった。
潤之介の出ていった布団が寒い気がした。
「ん?どうした?」
そっと潤之介の手が無門の頬に触れる。
「そのような顔をして…」
寂しさがそのまま表情に出てしまったのか、潤之介は苦笑いをしている。