第58章 Thousand of …
俺たちは、3年前に家族になったばかり。
俺は、和也と雅紀を抱えて妻を亡くしたばかりで…
あなたは、離婚してずっと潤と二人で暮らしてた。
慣れない子育てと、今まで通り働けなくて人間関係がどんどん悪化していく俺は、とても普通の状態じゃなかったと思う。
そんなとき、仕事で出会ったあなたは、ボロボロの俺を受け入れてくれたんだ…
ちゃんと向き合ってくれたんだ…
今みたいに在宅で仕事ができるようになったのも、あなたのお陰で…どれだけ感謝してもしたりない。
だから…今度は俺が、ちゃんとあなたを支えたい…
「俺はね、智くんが居るから頑張れるんだよ?」
「え?」
「家だって買っちゃったしさ…俺、頑張らないとさ…」
「でも…」
くすっと笑うと、あなたは俺の顔を覗き込んだ。
「一緒に…生きてくれるんだろ?」
”一緒に生きていってください…”
あの日、あなたが言った言葉は忘れたことがない。
「もちろんだよ…ずっと一緒だよ…」
「長い人生さ、こんな時期だってあるよ。これが一生続くと思ったらごめんだけどさ…」
苦笑いすると、ごしっと自分の顔を擦った。