第57章 願わくば花の下にて恋死なむ
「よーし!もう一軒行くぞー!」
「いや相葉くん…もう…俺、帰るし…」
「なんだと!?今日は朝まで飲むぞ!」
「うもー…明日、朝から防音室取ってあるでしょうが…」
「だからあ…寝ないでいくぞ…ってあれ?」
気がついたら、大野さんががっつり眠り込んでた。
人通りの多い街なかで座り込んで…なにしてんだ…
いくら起こしても起きないから、担いで俺のアパートまで連れて行くことにした。
タクシーなんか贅沢で使えない。
でも相葉さんがほとんど担いでいるから、楽だったけどね。
「ニノぉ…大学突っ切っていこうぜ…重い…」
「うん…行こっか…」
真っ暗な構内には、街灯がぽつりぽつりと立っている。
ぼんやりと暗い中、俺達はゆっくりと歩いた。
「に、ニノ…俺、おしっこしたい…」
「ええっ…うもー…待ってるから行ってきなさいよ」
「ああ…おおちゃん、ここ置いとくから、見といて?」
「わかった」
相葉くんは、大野さんを芝生の上に寝かせると、植え込みの中に走り込んでった。
「んなとこですんなよな…トイレいけよ…」
ふと、周りを見ると大きなあの木が見えた。
シンとして、周りには音がない
俺はふらふらとその木に近づいた