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ヘブンズシュガーⅡ【気象系BL小説】

第57章 願わくば花の下にて恋死なむ


「父親が亡くなって…やっと俺は、自分に素直になることができたんだ…」
「やめて…もう、終わったことだから…」

翔は身体を離すと、俺の肩に手を置いた。
まっすぐに俺の目を見つめてくる。

ああ…初めて会った頃と、なにも変わっていない…

「群馬の家は、処分した…俺は、身ひとつで東京に出てきたんだ。もちろん、妻とは別れてね…」
「俺には関係ない」
「潤…」

翔の目がうるんだ。

「…やっとおまえと一緒に生きられる準備が整った…」

俺の手を取ると、ぎゅっと握った。

「自分勝手だってわかってる…だけど…ここで言わないと、一生後悔すると思って…」

泣きそうになりながら、それでも翔は笑った。

「潤…愛してる」

すうっと息を吸い込むと、俯いた。

「俺と…一緒に生きていってくれないか…」


小さな小さな声だった…


握った手が、冷たい
小さく震えてるのが伝わってくる

「愛してる…潤…」

深々と翔が頭を下げた。

「転勤で、ヨーロッパに行くことになった。一緒に行ってほしい…」




和也の顔がよぎった


4年分の和也の顔


笑ってる顔

怒ってる顔

泣きそうな顔

寝ぼけてる顔

…快感に漂う顔…



「かず…なり…?」



頭を下げてる翔の向こう…

大きな桜の木の下に、和也が佇んでた

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