第57章 願わくば花の下にて恋死なむ
「か…」
言おうとした唇を、自分の唇で塞いだ。
「んっ…ふ…」
口の中をめちゃくちゃに舌を這わせて、なにも言わせなかった。
「やっ…あっ…」
苦しげな息が聞こえても、離してやらない。
「いっ…ちゃ…かず…」
「いいよ」
身体を起こすと、教授の下腹に手のひらを置いてぎゅうっと押した。
押しながら、気が遠くなるほど腰を振った。
「あっ…当たるっあああああっ…イクっ…」
ぐうっと腰を教授の体の奥に埋め込んで、そのまま一緒に俺たちは果てた。
「はぁっ…あぁ…」
「教授…」
「どう…したの…?」
切れ切れの息を吐きながら、俺の腕をつかむ。
「俺のこと、好き…?」
教授の目が大きく見開かれて、そして緩んだ。
「すき…だよ…」
今まで見た中で、一番綺麗な笑顔だった
「どうしたの…?好きじゃなきゃ…こんなことしないよ…?」
「うん…ありがとう…」
ぎゅうっと抱きしめると、嬉しそうに笑った。
「初めて…聞いてくれたね…」
「そう…?」
「嬉しい…」
ぴたっと教授の動きが止まった。
「ね…」
「うん…?」
「その…かず…なりは…?」
「え…」
「和也は…俺のこと、好き…?」
『あの桜は…もう散ったでしょうか…?』