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ヘブンズシュガーⅡ【気象系BL小説】

第57章 願わくば花の下にて恋死なむ




その夏は…多分、暑かったんだろう。
だけど、俺は未だに教授の熱しか思い出せない。


14号館の隣、ここには実験で使う教室がある。
まるで工場みたいな中には、小さいけど防音の実験室もある。

今日はそこの掃除。
日頃は使ってる学生がちょこちょことはやってるんだけどね。
やっぱり薄汚れてくるから、徹底的にやった。

グランドピアノが一台おけるくらいの広さだから、相葉くんと大野さんと3人でやったらあっという間に終わった。

「じゃあ、俺たち14号館戻るわ」
「うん。俺、バケツ片付けてから行くね」
「よろしく、ニノ」
「よおし、がんばろうぜ。雅紀」
「おう!おーちゃん!」

二人が出ていって暫くしたら、ガサガサと音が開け放したドアから聞こえた。

「おーい、差し入れ…って、あれ?二人は?」
「ああ…もう終わったんで、向こう戻りました」
「そうか。これ」

そう言って松本教授はコンビニの袋を差し出した。

「好きなの飲んで」
「ありがとうございます」
「へえ。きれいになったね」
「はい…」

雑巾をバケツで洗ってから、水を水道まで流しに行って。
戻ってきたら、教授は椅子に腰掛けてた。

手にスマホを持ったまま、ぼーっとしてる。

「教授?俺、隣戻りますね」
「ああ…」

ちらり、教授が俺を見た。

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