第57章 願わくば花の下にて恋死なむ
飯を食べ終わると、またうつらうつらして…
カチャカチャと食器を洗う音を聞きながら、また眠ってしまった。
次に目が覚めたらもう夕方で。
「あれ…」
部屋の中がちょっとだけ片付いていた。
びっくりしてベッドに起き上がると、声がした。
「起きたか?」
ユニットバスから教授が出てきてびっくりした。
「うひゃあっ…」
「…なんだ?」
「え…あ、いや…夢じゃなかったんだ…」
なんだか夢を見ていたようで…
いい夢を見たなあなんて思っていたんだけど。
現実だった。
「ぷ…熱は…?」
「いえ…もう大丈夫ですから…」
そう言ってるのに、俺のおでこにまた手を当ててきた。
「ん。だいぶいいな」
「すいませんでした…」
「いや…いいんだ。久しぶりにここで過ごせて、懐かしくてね…」
本当に嬉しそうに松本教授は微笑んだ。
その笑顔が…とても綺麗で…
思わず手を伸ばして頬に触れた。
「…二宮…?」
「あっ…すいません…」
すぐに手を引っ込めた。
そのままベッドに横になると、タオルケットを被った。
心臓がありえないくらい早く打ってる。
やばい…静まれ…
心臓の音…聞こえる…