第57章 願わくば花の下にて恋死なむ
頭が上手く回らないうちに、教授に外に連れ出された。
「職員駐車場まで歩けるか?」
「え…その…」
「まだ、このあたりの病院とかわからないだろう?案内しがてら、連れて行くから」
「いえ…そんな…」
「いいから…」
ぐいっと腕を引かれた。
「病人が遠慮するものじゃない」
そう言われたら、何も言えなかった。
松本教授のセダンに乗せられて、病院に連れて行かれた。
風邪だろうということだった。
処方箋を貰って病院を出ると、すぐに薬局に連れて行かれた。
薬を受け取っている間、教授は何か買い物をしていた。
家まで送ってもらうと、教授は肩を貸して部屋まで送ってくれた。
「すいません…こんなにしてもらって…」
「いや、俺も今日は有給にしたから、気を使うな」
「はあ…」
「昼時だから、飯作ってやる」
「えっ…そんな!そこまで迷惑かけられませんから…」
「いいから…」
強引に教授は家の中まで入ってきた。
「なんだこれは…」
まだぐちゃぐちゃの部屋を見て、教授は呆然とした。
「すいません…まだ片付け終わってなくて…」
「何で早く言わないんだ…」
「いえ…バイトは休むつもりありませんでしたから…」