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ヘブンズシュガーⅡ【気象系BL小説】

第57章 願わくば花の下にて恋死なむ


隣のアパートは、築20年ということだった。

「俺が入学した時にちょうど新築だったんだ」

大家のおばあちゃんから鍵を預かって、二人で部屋に来た。
教授が鍵を開けて中に入っていく。

「あ…電気来てないな…」

玄関のすぐ上にある配電盤を開けると、通電させた。

「いこう」

中は綺麗だった。

「前の入居者がでてから、この部屋はリフォームしたんじゃないかな…」

給湯なんかは最新のもので、お風呂もユニットバスだけど広い。
何より魅力的なのは、部屋が広い。
薄い色の木のフローリングは広々と8畳以上はありそうだった。

「ふふ…懐かしいな…」

カーテンのかかっていない窓辺に立つと、外を眺めてる。

「変わってないな…ここは…」

一緒に隣に立って外を眺めた。
なんてことない、住宅街の風景だったけど…
でも教授にとっては、懐かしい青春の風景だったんだろう。

「院を卒業するまでここに居たんだ…」
「へえ…じゃあ、結構長かったんですね」
「そうだね…」

ちらっと教授は俺の顔を見た。

「どう…?」
「え?」
「二宮さえ良ければ、押さえておくけど。この部屋」
「え…ほんとにいいんですか?こんないい部屋…」
「ふふ…いい部屋だろ?」
「はい…」

ちょっとだけ、松本教授の青春を覗き見た気がして…

とっても気に入った。

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