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ヘブンズシュガーⅡ【気象系BL小説】

第5章 翼をもがれた竜-episode1-


「潤はよ…ちっとばかし、精神が歪んでんだよ…」
「え?」
「だから、ここで治しておかないと後々大変だからよ…」
「はぁ…」

俺にはそんなことわからなかった。
いたって松本は普通の男子高校生に見えていたから。

「それに堅気に帰せなくなるからよ…」
「えっ…ヤクザにするんじゃないんですか?」
「あいつが望めばな…だけどあいつは元々堅気なんだ」

タバコを深々と吸うと、煙をちょっとずつ吐き出す。

「戻せるなら、戻してやりてーんだよ…」

窓の外を遠い目をしながら見ている。

俺にはボンがどういう人か、全然わからなくなった。
自分だって堅気になりたいはずなのに、組のもんにはきっちりと跡目としての態度をとっている。
いやだいやだと言いながら、組の仕事もこなしている。
ヤクザの跡継ぎとして、申し分ない働きをしているのに…

休みの日は、アトリエに一日こもりっきりで絵を描いている。
時には粘土と格闘して、フィギュアなんかも作ったり。
それがなかなかの出来だから、感心してしまう。

一体この人は、どういう人なんだろう…
こんな不思議な人に俺は会ったことがなかった。

最も、今まではヤクザなんて無縁の人生を送っていたから、出会わなかっただけかもしれないけど。

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