第5章 翼をもがれた竜-episode1-
ボンは俺の顔をポカーンと見上げた。
「兄貴分を閉じ込めるなんて…お前よく言うな…」
「あっ…そうでしたっ!すんません!兄貴!」
俺は慌てて相葉の兄貴に土下座した。
「い、いや…それでいいです!ボン!そうしてください!」
ボンは掴んでいた相葉の兄貴の髪を乱暴に離した。
「じゃあ、潤。お前がしろ。いいな」
「…そんな…」
「いいから…潤」
ボンはそのまま事務所を出た。
慌てて相葉の兄貴に一礼すると、俺も後を追いかけた。
ボンは無言で歩いた。
車に乗り込むと、ボンは突然笑い出した。
「うひゃひゃひゃひゃひゃ…」
あまりに突然のことで、びくっとしてしまった。
「さ、櫻井…おめえよ…バカか…」
「すいません…誠に…」
「ひー…おめえ…ぶっ殺されんぞ…マジ…」
腹を抱えながら、ボンはタバコに火を点けた。
「でもお前、頭いいよ…あれなら潤にお灸据えれんだろ」
「いえ…そんな…」
「慶応だってな。高校…」
「なんで知ってるんですか」
「ばあか…身元もよくわからねえ奴なんて側に置くわけねえだろうが」
そう言うと、タバコの煙を吐き出した。
「ま、潤も懲りんだろ…きっちり校則守れない奴が、ヤクザの仁義なんか守れるわけねえもんな」
「ボン…」