第56章 傾城屋わたつみ楼
智の唇に吸い付きながら丹前も浴衣も脱ぎ捨てて。
夢中でその白い肌を抱きしめた。
「翔さま…」
キスの合間に聞こえる智の甘い声が脳髄を痺れさせた。
こんなに興奮したのは初めてで。
こんなに欲しいと思ったのは初めてで。
平らな胸や俺と同じものがついてる下半身を見ても、それは変わらなかった。
「教えて…」
「…え…?」
「智がどうやったら気持ちよくなるのか…教えて…」
「翔さま…」
乱暴なことはしたくなかった。
知らないから、そうなりそうで怖かった。
同じ男なんだから、どうやったら気持ちよくなるのかはわかる。
だけど…智とひとつになりたかった。
その方法は、知らなかった。
智は暫くじっと俺の顔を見つめた。
おもむろに手を伸ばすと、枕元にある小箱を開けた。
そこからボトルを取り出す。
「…手を…」
手を差し出すと、そこにとろっとした液体を出した。
「指につけて…ここへ…」
そっと俺に向かって足を広げると、頬を染めて横を向いてしまった。
心臓が破裂してしまいそうだ
「触るよ…」
足の奥に指を入れると、そこに触れた。
「はぁ…」
甘い吐息が聞こえると、嬉しくなって。
そこをくるりとぬるぬるする指で撫でた。