第56章 傾城屋わたつみ楼
蒼乱が俺の手を引いて、布団の上に座った。
一緒に座ると、にっこりと笑った。
「翔さま…」
ゆっくりと俺のこと抱きしめると、一緒に布団に倒れ込んだ。
蒼乱の香りが漂ってくる。
「お嫌…?」
「え…?」
「翔さまがお嫌だったら、このまま眠りましょう…」
「蒼乱っ…」
俺よりも細いその身体を抱き寄せた。
「嫌じゃない…」
「ほんとに…?」
「ああ…」
そっと蒼乱の手を取って、期待に膨らんだ俺の中心を浴衣の上から触らせた。
「もう…ずっとこうなんだ…だから、嫌じゃない…」
「翔さま…」
嬉しそうに微笑む蒼乱の上に覆いかぶさった。
「智…」
蒼乱が目を大きく見開いた。
「ごめん…抱きたい…」
「…なにを…」
「え?」
「なにを謝るんです…ここはそういう場所です…」
「わかってる…でも…なんだかすまないと思って…」
「翔さま…」
「智…」
ゆっくりと智は目を閉じた。
「抱いて…翔さま…」
震える手で、襦袢の腰紐を解いた。
袷から手を入れて身ごろを開くと、真っ白い身体が現れた。
とても綺麗だった。
無駄なものはどこにも付いていなくて。
首筋に唇を這わせると、甘い吐息が漏れて。
それを聞いた途端、体中の血が沸騰した。