第56章 傾城屋わたつみ楼
「そこに指を挿れて…柔らかくするんです…」
恥ずかしそうに横を向きながら、か細い声をだす。
「わかったよ…」
ぐっと力を入れると、指が吸い込まれるように中に入っていった。
狭い…
でも、温かい…
第二関節までやっと指一本が入った。
「ん…あ…動かして…?翔さま…」
「でも…狭い…」
「大丈夫…」
ゆっくりと引き抜いて、また埋め込んでいく。
小さく智の身体が震えるのが嬉しくて。
暫くそうやっていたら、智が上半身を起こした。
ボトルに手を伸ばすと、手に液体を出した。
「なにするの…?」
薄っすらと笑うと、俺の中心に手を伸ばした。
ぬるりとした感触に鳥肌が立つ。
「指…止めないで…?」
耳元で囁かれて、慌てて指を動かす。
下から突き上げてくるような快感と、指先の感覚。
訳がわからなくなりそうだった。
「智…だめだよ…集中できない…」
「いいから…気持ちよくなって…?」
息が荒くなってくるのを止められない。
小さく喘ぎながら俺を扱く智の姿は妖艶で…
興奮が止まらなかった。
「智…」
「翔…さま…欲しい…」
きらりと智の目が光った。
「私の中に…欲しい…翔さま…」