• テキストサイズ

ヘブンズシュガーⅡ【気象系BL小説】

第56章 傾城屋わたつみ楼


どうも、ここの客は金持ちの中でも金持ち…
所謂、上流のやつらが多いせいか、そういう場所に出入りをしたことのない連中がくると雅紀が言う。

しかも相手は男だしな…

皆ガチガチに緊張するから、安心してくださいと言われた。


お湯を掛けて身体を流されてる間、家のことを思い出した。

都内有数の企業体を持つ家柄。
大学を卒業して、すぐに俺は子会社の専務の職に就いた。

親族経営に疑問を持っていた俺は拒否したが、強引に押し切られた。

社会に出ていない俺なんかが専務を務めたところで、社員がついてくるわけもなく。
必死に努力して、なんとか子会社で認めて貰えるようになった頃、突然本社に移動させられた。

それが三ヶ月前

ガラガラと、今まで積み上げたものが崩れ去った気がした。
必死に努力した5年間はなんだったんだろう。

会社の皆は、本社に栄転ですねって言ってくれたけど。

返してくれよ…俺の時間…

やっと築き上げた信頼関係なのに。
俺の、仕事仲間なのに。


「櫻井様?」
「あ…」
「どうかされましたか?」
「いいや…すまない」

雅紀が手を引いて俺を立ち上がらせた。

「もう一度お湯に浸かって、温まってくださいね…」

/ 1000ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp