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ヘブンズシュガーⅡ【気象系BL小説】

第5章 翼をもがれた竜-episode1-


ボンの名前は大野智と言った。

「いてててて…」
「すんません。少し我慢してください」

城島さんと取っ組み合いをしてできた傷を消毒している。

「ほんとあのバカ容赦ねえよな…」

腕の傷を見るとチラと俺の顔を見た。

「なんでしょう?」
「アンタ、名前は?」
「櫻井翔です」
「齢は?」
「19です」
「へえ…俺の一個下か…」

驚いた。俺よりも年上だったんだ…

「ま、関係ねえか…一個くらい…」

そう言ってニッコリ笑いかけて来た。

「よろしくな。俺、智ってんだ」
「あ…よろしくおねがいします…」

ボンは、不思議な人だった。
ヤクザなんかやらないと言いながら、俺のことはきちんと面倒見てくれた。
ヤクザの世界のことなんて、ちっとも知らなかった俺に丁寧にいろいろと教えてくれた。

「お前はこの世界で生きていこうと思って来たんだろ?生半可な気持ちで来たわけじゃないだろうから、きちんとしてやるからな…」

そう言って、大野組に早く馴染めるよう事務所によく連れて行ってくれた。
叔父貴や兄貴たちに俺を早く覚えさせようとしてくれたのだ。
ボンにいっつもくっついて回っているから、俺は早々に組事務所の人たちに覚えてもらって、かわいがられた。

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