第53章 【Desire】25 millieさま・chiseiさまリク
それからまた雅紀と二人で黙々と網を直して、終わったのは夕方だった。
「大野さんおつかれー!今日はもう終わりね!」
「ああ…早く晩酌してえなあ」
「ビール飲もっか」
「でもまだ5時だぞ…?」
そんなことを話しながら厨房に入ると、翔くんが調理台に凭れて居眠りしていた。
「あ、翔ったら…大野さん、悪いけど部屋に運んでくれる?俺、晩飯の準備するよ」
「わかった」
翔くんを抱えて食堂に上がって、そこから家の中に入る。
廊下を歩いていると、和と潤が部屋から顔を出した。
小学校に上がったから、二人部屋を与えられたのだ。
そのせいで俺の部屋がなくなって、俺と翔くんは同じ部屋に寝ることになったんだ…
雅紀が強引に進めたんだけど…なんかこっぱずかしい…
「大野あんちゃんどうしたの?翔あんちゃんおねつ?」
「大丈夫?翔あんちゃん…」
「おお。疲れて寝てるだけだから。部屋のドアあけて?」
そう言うと、二人で争うように翔くんと俺の部屋のドアを開けてくれた。
「じゃあ静かにしてろよ?」
「はーい」
「宿題終わった?」
「うん!終わったよ!」
「おし、じゃあ晩飯までテレビ見てていいぞ」
「わーい!」
「やったー!おじゃる丸みるー!」
「大相撲がいい!」
言いながら二人は部屋を出ていった。
「相撲はいまやってねえぞ…」
つぶやくと、腕の中の翔くんがふふっと笑った。
「あ、起きた?」
「うん…ごめんね。重かったでしょ?」
「全然。海の男なめんなよ?」
「ふふ…頼りがいがあるなあ…」
また翔くんは俺の胸に顔を埋めた。
やべ…いい匂いがする…