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ヘブンズシュガーⅡ【気象系BL小説】

第49章 【Desire】21 kurisuさまリクエスト


「今日は…どんなお話をしてくれる?」
「そうだなあ…狼男の話をしてあげる」
「うん…楽しみ…」

雅紀はいろんなことを知っていて…
僕にいろんなおとぎ話をしてくれる。
部屋の中と病室しか知らない僕には、そのお話は胸をときめかせるもので。

毎夜、雅紀がきてくれるのが楽しみだった。

「…満月を見ると、狼に変身するの…?」
「そうだよ…月には不思議な力があるんだよ」
「凄いね…」

ベッドの中から窓を見上げた。
薄いカーテンに覆われた窓からは、月光が薄っすらと差し込んでいる。

「今日は、満月じゃないんだ…」
「なんで?」
「満月を見たら、僕も変身できないかなぁ…」
「何になりたいの…?」
「強く…なりたい」
「え?」
「強い体になりたい…」

熱の出ない身体。
痙攣の起こらない身体。

健康な身体…

僕の一番なりたいもの…

「…さあ、今日のお話は終わりだよ…」

そっと雅紀の手が、まぶたの上に置かれる。

「良い夢を…」
「おやすみなさい…雅紀…」

ゆっくりと闇の中に飲み込まれていく。

雅紀が来てくれるから、安心して眠れた。
眠ってしまったら、二度と目が覚めないんじゃないかって不安が、一緒にいるとどこかへ行ってしまうから…

「明日も…来てね…?」
「ああ…おやすみ、翔…」

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